グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)活性を利用したたくあん漬けの γ -アミノ酪酸(GABA)含量の変化について検討を行った.新鮮ダイコンのGABA含有量0.28±0.01mg/g乾燥重(DW)に対して,日干しまたは塩押しといった脱水処理により4.93∼9.07mg/g DWまで増大した.グルタミン酸(Glu)は5.72±0.23mg/g DWから0.59∼0.85mg/g DWまで減少した.GAD活性は新鮮ダイコンで最も高く,脱水·塩蔵処理にともない顕著に低下した.食塩と同時に0.1∼0.5%のグルタミン酸ナトリウム(MSG)を添加することで,さらに1.2∼3倍まで増大させることができた.MSG添加した塩蔵ダイコンの上がり水に,経時的なGluの低下とGABAの増大が認められた.微生物により変換されたGABAが塩蔵ダイコンに移行することが示唆された.塩蔵ダイコンの色は,無添加ダイコンでは淡黄色を保持していたが,MSG添加したダイコンは,塩蔵2ヶ月を超えると,くすんだ灰色に変色した.これらの結果から,MSGの添加は塩蔵ダイコンのGABAを富化させることはできるが,色の変化により塩蔵による保存寿命を短縮させることが明らかになった.