本稿では,LISP系言語の1つであるSchemeを用いた3D図形言語の設計と実装について述べる.効率的にプログラミングを行う上で,手続きやデータ構造の抽象化の概念を正確に理解しておくことは重要である.プログラミングの代表的な教科書SICP (Structure and Interpretation of Computer Programs)においては,プログラムの階層構造を直観的かつ視覚的に捉えることを目的として,Schemeを用いた平面図形構成のためのシステムである図形言語が利用されてきた.我々はScheme処理系としてJAKLDを用い,オリジナルの図形言語に立体図形構成のための拡張を加えた.さらにプログラムに記述された立体フラクタル図形を3Dプリンタを利用し実体化することで,プログラミング初学者の大学一年生が手続きとデータ構造を効果的に習得するための教材として利用した.