東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性セシウムが降下した落葉広葉樹林で構成される里山において, 事故以前 (2009 年 3~11 月) と事故後 (2012 年 1 月~2013 年 12 月) における分解にともなう落葉中の放射性セシウム濃度および量の変化を明らかにした。事故以前である2009 年 3~11 月に採取した分解にともなう落葉中の放射性セシウム濃度は2.3~14.6 Bq/kg であった。事故後の 2012 年に採取し分解させた落葉の放射性セシウム濃度は同年秋以降に急激な上昇がみられた。また, 分解によって落葉の重量が減少したにもかかわらず, 落葉中の放射性セシウム量は落葉採取時よりも増加していた。分解にともなう落葉中の放射性セシウム濃度および量の増加の原因として,重量減少にともなう放射性セシウムの濃縮のほか, 活性化した微生物の体内に放射性セシウムが系外から取り込まれた可能性が考えられた。