筋電義手は上肢機能を再建するものとして,必要な生活動作を実現できることと,軽量で装着者への負担が少ないことと,耐故障性が高いことが要求される.そのため,義手の把持機能を維持しつつ,システム全体を簡素化する必要がある.我々は,示指と中指のMP関節と,母指CM関節との2自由度で,日常生活動作(ADL)で使用頻度の高い把持姿勢(握力把握,精密把握,側面把握)を可能とする義手を開発している.手指の形状が,把持可能な物体の形状や把持力などの把持機能に影響を及ぼすため,モデル化と実験による最適化を行うことで,日常生活に必要な把持姿勢に適した手指形状の探索が必要である.本研究は,2自由度義手のモデル化を行い,7種類の手指形状を持つ義手のPick-and-Place実験を行い,対応分析により把持機能の高い手指形状を決定した.さらに,上肢切断者による実験で,手指形状の妥当性と軽量化の効果を検証した.