2006年に始まった「共同研究講座」制度では,企業が年間3千万円程度を負担して大阪大学に研究室を設置する.企業は自社の人材を送り込み,大学も研究者を充て,共同で研究の運営を行う.「協働研究所」はその発展型であり,企業側の自主研究が行えるとともに,企業が大学との幅広い連携を行う.年間の研究費総額は14億7千万円(2014年度)で,大阪大学全体の共同研究費の4割となり,財政的制約下で大学を活性化する有力な枠組みとなってきた.制度運営のノウハウは公開しており,同様の取り組みが他の大学,企業にも広がっているが,ここでは大阪大学の10年目の現状と課題を紹介する.