島根大学における共同研究の実施状況を明らかにするために,2004~2013年度の共同研究の契約情報を整理・分析し,共同研究の相手先の地理的分布とその変化を調査した.その結果,(1)相手先が大企業の場合は,関東,近畿,東海,中国地方の企業が多く94%を占めること,(2)相手先が中小企業の場合は,島根県,関東,中国,近畿地方の企業が多く94%を占めること,(3)2009年以降は関東,東海,近畿,中国の大都市圏に位置する企業との共同研究件数が概ね増加傾向にあり,島根県内企業との共同研究は減少傾向にあること,(4)企業以外を相手先とする共同研究の相手先は,島根県内に位置する機関がほとんどであること,が明らかになった.地域イノベーションの創出の促進を考えると,大学と地元企業との共同研究が減少傾向にあることは,大きな問題と考えられ,今後,他地域の状況を明らかにすると共に,対策を検討していく必要がある.