SDBの機能性を向上させるために水熱処理を行い,物理的,化学的,機能的変化を調査した。その結果,以下の知見が得られた。 1. SDBを水熱反応(150–180°C)させることにより,難消化性デンプンが消化性デンプンに変わった。またSDBの固液分離性は向上し,遠心分離上澄液の割合は高まった。 2. SDBを水熱処理するSDB独特の臭いは減少したが,処理が過剰になると焦げ臭の発生,褐変を伴った。飲料および食材としての利用を前提とすると160°C–170°C処理が適当であると判断された。 3. 水熱処理によってSDBに含まれるグルコースは減少したが,キシロースを主体とする多糖は増加した。また可溶性タンパク質は水熱処理によって増加した。 4. SDB–HR–S を45%添加した試験培地においては処理温度が高く,処理時間が長いSDB–HR–Sほどビフィズス菌の増殖効果は高まった。しかし90%添加した培地では,180°Cで10分処理したSDB–HR–Sを添加した区で増殖が減少に転じた。増殖効率の高い条件として90%添加で170°Cで5分,160°Cで10分あたりが適当と判断した。 5. 処理温度が高く,処理時間が長くなるほどポリフェノール量,抗酸化能は高くなった。また,水熱処理によって紫外部吸収成分(抗酸化能成分)が生成された。