1. 中国広東省南海市の酒造所の餅麹(曲)から,安定した分生子着生を示す黒色系糸状菌16株が分離できた。 2. 標準株Aspergillus awamori RIB 2602(ATCC 14331,NBRC 4388)とAspergillus niger RIB 2641(ATCC 16888,NBRC 33023)と比較し良好なクエン酸生成能および酵素力価を示すKNO 4,KNO 9,KNO 16,KNO 17およびKNO 18の5株の黒色系糸状菌を取得できた。これらの株は,特に高い酸性カルボキシペプチダーゼ活性を示した。 3. 取得した5株の黒色系糸状菌の形態学的ならびに遺伝学的特性を追究した。巨視的および微視的観察ならびにITS-5.8 rDNA,28 S rDNA-D 1/D 2塩基配列解析の結果から,KNO 4およびKNO 9は,Aspergillus niger Tiegh.の記載に最も類似しており,KNO 16,KNO 17およびKNO 18はAspergillus sp. の記載に最も類似していることが分かった。 4. 本試験で取得した5株の黒色系糸状菌のアフラトキシンおよびオクラトキシンの生成は認められなかった。