サツマイモの食感(肉質)に関わる塊根成分の解明を目的として,肉質の異なる様々な品種,育成系統等の塊根のデンプン,ペクチン質ならびにCaの含量を測定した.また,蒸した塊根の組織崩壊率による食感(肉質)の定量的評価の可能性について検討した. (1)塊根のデンプン含有率が高いほど蒸しいもの食感(肉質)が粉質となる傾向が認められたが,肉質に基づいて分類された5つの塊根集団のうち,デンプン含有率に有意差が認められたのは4つであった. (2)蒸した塊根の組織崩壊率と蒸しいもの肉質との間には一定の関連があり,崩壊率が低い塊根ほど肉質が粉質であった.特に,デンプン含有率が中程度(16∼22.5%)の塊根において組織崩壊率と肉質との密接な関係性が認められた. (3)蒸した塊根の組織崩壊率は塊根のデンプン含有率ならびに,Caおよびデンプン残さから抽出されたキレート剤可溶性ペクチン質の各々生重量当たりの含有量といずれも負の相関を示した(r=-0.448*** ; デンプン,r=-0.403*** ; Ca,r=-0.214* ; ペクチン質)が,後2者は肉質指数とは相関が認められなかった. 以上要するに,蒸したサツマイモ塊根の肉質と組織崩壊性との間には関連が認められ,前者にはデンプン含有率が主に関わるが,後者にはこれに加えてCa含有率が同程度に関与することが明らかとなった.