本格焼酎と泡盛に代表される「単式蒸留焼酎」は,過去十数年にわたって驚異的な伸びを示した。 この間,同業界団体である日本酒造組合中央会(以下,中央会)では,政府からの同業界対策基金を活用して,今後の重要課題についての調査研究を進めてきた。なお,各課題の調査研究は,産・学・官で構成されるプロジェクトチームに委託する「委託調査研究」方式で実施された。 このように,単式蒸留焼酎業界が一団となった幅広い調査研究の情報は,ひとり同業界のみならず,他の酒類にとっても“他山の石”として興味深い話題であろう。 本解説では,中央会が平成16年から18年の3ヶ年間に実施した委託調査研究の成果について,本報ではプロジェクトA「焼酎製造の近代化に関する技術体系の総合調査」に関する報告,次報ではプロジェクトB「海外産蒸留の歴史・文化・技術・制度に関する総合調査」およびプロジェクトC「焼酎粕処理設備のアフター調査及び処理技術の体系化調査」に関する報告,の2回に分けて紹介する。