林木育種における表現型計測への地上LiDAR の実用的利用を目的とし, スギ精英樹F1 個体を植栽した試験地の3次元レーザ計測より得られた点群データを基に, 樹幹の諸形質の定量化および評価を行った。樹幹の点群データについて, 10cm 高ごとに水平な真円 (幹リング) で近似した。点群データと幹リングに基づき, 樹高および胸高直径の高精度な自動推定が可能であった。幹リングを利用して3次式の相対幹曲線をあてはめた。相対幹曲線から推定した幹材積は, 樹高と胸高直径から推定される値と高い相関関係にあった。幹の通直性を二つの標準化手法を用いて定量化し, 現地調査で得た通直性の指数との比較により評価した。推定された形質値間の相関係数により, 形質間の関係性を検討した。それぞれの形質における相加的遺伝分散の割合は, 矢高において大きく, 樹高, 材積, DBH および相対幹曲線の係数の順に低下した。林木育種の表現型計測における本解析手法の有効性について議論した。