出版社:Japan Science and Technology Information Aggregator, Electronic
摘要:ワラパイ語(北米インディアン諸語,高地ユーマ語族)にはそれぞれ一般動詞から発達した助動詞-i,-yi,-yuおよび-wiが見られる。そのうち,-yuと-wiの使用については主動詞の意味分類だけではうまく説明がつかず,Ichihashi(1991),Bender and Yamamoto(1992)では文の他動性との関連を考察した。 本稿では,他動性と-yu,-wi間の助動詞交替の関連をさらに追究すべく,ワラパイ語で他動性を操作する使役,適用,および受動態とこれらの文がとる助動詞を観察する。他動性を高める使役,適用態では助動詞-wiが,一方,他動性を低くする受動態では-yuが使われることから,ワラパイ語において助動詞-yuは低他動性の,-wiは高他動性の指標として機能していると考えられる。