出版社:Japan Science and Technology Information Aggregator, Electronic
摘要:不定名詞句や数量詞を含む名詞句が代名詞を束縛する時, その代名詞はその名詞句の作用域内にあるという条件 (作用域条件) と, その名詞句によって構成素統御されていなければならないという条件 (構成素統御条件) の二つを満足しなければならない。ところが, この一般理論に対する反例が二種類ある。一つはdonkey文 (Every man who own a donkey beats it) で, この文ではeveryが仲介役となってa donkeyがitを束縛することを可能にしている。もう一つはEnglishman文 (The woman who every Englishman admires most is hismother) で, この文ではeveryがwomanの値 (つまり指示) を決定し, それが仲介役となってevery Englishmanとhisの間の束縛関係が成立していると考えられる。これはdonkeyの文の場合とまったく逆の関係にあるので, 後者を逆間接的束縛と呼ぶ。