AALE (2010) の付録に収録されている地名形容詞を資料としてイスパノアメリカ地域における地名形容詞の派生について調査した。もっともよく使用される接尾辞は -(i)ense、-eño、-(i)ano、-ino の4種類であるが、地域により好まれる接尾辞に相違がある。地名から語末母音を除いた語根と接尾辞との関係を見ると、-ano は -n で終わる語根を回避し、代わりに -iano が用いられる。接尾辞 -és、ero は鼻音で終わる語根に選ばれやすく、逆に鼻音を含む -eño、-ino は避けられる傾向があるようである。接尾辞添加が行われる際、地名の一定の語尾は削除されることがある。地名が名詞句の場合、その構成素からどのように語基が選択されるかは派生した形容詞から地名が復元可能かどうかに左右される。