学位論文では、文末に現れる呼びかけ語は、先行発話内容に対する話し手の態度を表すと結論づけた(野村 2014)。特に固有名詞以外の名詞や形容詞は、その意味に従って話し手が聞き手をある立場に立たせることによって先行発話に対する話し手の態度を表明しようとするものであり、発話を強めたり和らげたりすることができる。では、どちらも普通年上の話し手から年下あるいは同年齢の聞き手に用いられ、よく似た語彙的意味を持つ hijo/a と chico/a は、呼びかけ語全体の中でどのような特徴を持つのだろうか。本稿では hijo/a と chico/a が用いられるのは、話し手と聞き手がどのような関係にある場合かを考察し、これらの呼びかけ語が使用しやすい文脈と、発話与える影響を明らかにする。