本稿の目的は、現代教育政策を「教育政策の私事化」という視点から分析し、教育の公共性をめぐる国家論、および制度論の課題を、教育における福祉国家論の文脈より析出することにある。そこでは、現行の教育再生実行政策を、政策立案機関、教育目的、教育制度の「私事化」という観点から検証する。また、戦後日本の福祉国家論との対比から見出される「新しい福祉国家構想」をもとに、教育の公共性形成に求められる国家関与の在り方を追究する。