全国各地の保育所に通う3歳以上の幼児を対象に,魚介類およびその料理に対する嗜好についてのアンケート調査を1991~2012年の約5年ごとに行った。この中で1996~2012年の4回6,550人の結果を分析した。
(1)魚介類に対する幼児の嗜好では,2006年調査で好きな割合が最も高い数値を示したが,他の3回の調査では大差がなく,約70%の幼児が魚介類を好んでいた。肉類に対する幼児の嗜好は,2006年調査以降では魚介類を好む割合より高くなった。
(2)地域別に幼児の魚介類の好む割合をみると,1996年調査では,都市部の幼児で魚介類を好む割合が高く,内陸部で低かった。2012年調査でも,都市部の幼児が魚介類を好む割合は高かったが,内陸部の幼児との割合の差は小さくなった。肉類を好む割合では,1996年調査で,海岸部の幼児で低かったが,2012年調査はどの地域でも魚介類を好む割合より高くなり,好まれた。幼児は魚介類とともに肉類を好んでいるが,肉類の嗜好が地域に関係しないで好まれることより,肉類の摂取量が増加していると考える。
(3)幼児が好む魚介類の調理法は,焼く,生・刺身,煮るであった。生・刺身を好む割合は,2012年調査で2006年調査より5%低下した。
(4)魚介類18種の中で,幼児の好きな魚介類は,えび,まぐろ,さけ・ます,あさり,しらすであった。幼児の魚種に対する好む割合はさけおよびまぐろを除いて,2012年調査でいずれも低下した。
(5)幼児の魚介類に対する嗜好には,母親および父親の嗜好が影響している。 2012年調査では,保護者の魚料理の得意度,魚が夕食に上がる頻度の影響が低下した。
今後,さらに,食文化の伝承にも関与する魚介類の嗜好の実態を調べ,摂取量の増加につながる料理や調理法などを考え,健康的な日本型食生活を推進していきたい。