家庭用マーガリンのソフト型13種, カートン包装ハード型9種, 簡易包装ハード型2種, 計24種の脂肪酸組成, ステロールおよびトコフェロールを測定し, これらの一般的特徴を調査するとともに脂肪の質を表わす諸指標による栄養的評価について検討した。その結果は次のとおりである。 1) 脂肪酸組成およびステロール組成比の結果から簡易包装ハード型を除く全試料は植物油脂のみを原料として製造されたものであり, またサフラワー油と表示された5試料 (アベナステロール) およびとうもろこし油と表示された3試料 (総ステロール量, シトおよびスチグマステロール比) からそれぞれの特徴を示すステロール分析結果を得た。 2) ソフト型およびカートン包装ハード型のトランス酸量は平均14.49および19.18%を示し, 米国産マーガリンよりいずれも低かった。とくにソフト型の2試料からはまったく検出されなかった。 3) リノール酸を含むC18: 2ではソフト, カートン包装および簡易包装ハード型の各平均値は38.21, 20.61および10.85%であり, とくにソフト型には45%以上含まれる高リノール型のものが4試料見いだされた。 4) 総トコフェロール量はほとんどの試料に 20~50mg/100g含まれ, 抗酸化の目的には最適の濃度と一致した。同族体別には一般にα-よりγ-のほうが多かったが, サフラワー油表示のソフト型5試料ではα-が最も多かった。とくに高リノール型の試料には20mg/100g以上のα-が含まれていた。 5) 各試料を高リノールおよび一般ソフト型, ハード型および簡易包装ハード型に分類して栄養的に評価すると, 高リノール型は多価不飽和酸の給源であり, しかもそれにある程度対応したビタミンEも含有され, さらに血中コレステロール低下効果のあることを示した。