ミンチ状の牛肉, 豚肉および魚肉への調理油の移行量を3Hでラベルしたサンフラワー油およびサフラワー油を用いて調べ, 前報のガスクロマトグラフィーによる分析結果をより明確にすると同時に, 牛肉における移行油の構成を検討した。 その結果, 移行油量は使用材料の組織構造, 水分および粗脂肪量, 使用油の粘度の相違に影響されると理解された。調べた食品のうち, 魚肉では最大の移行油量を示した。なお, 加熱前の油浸操作, とくに抱油力が大きいPromic TB-6のような植物性たん白質の併用は, 肉への油の移行に有効とみられた。また, sautéingとdeepfat frying, broilingの調理方法で, 各脂肪酸の移行の割合に量的相違があることが推察された。一般に, 飽和脂肪酸の移行量がやや高く, 脂肪酸の不飽和の程度によって, 調理油の材料への移行にいくらかの違いがあった。