ヒトを含む種々の実験動物の血清および血清LP中の植物ステロール (Phyto) の分布をしらべた。正常な成人男子にPhytoを投与しても血清中にはごく少量しか検出できず, ヒトでは他の動物と比較しPhyto吸収率は, かなり低いと判断された。Phytoの50%はLDL, 35%がHDLとして運ばれていた。Phytoを投与した場合, 産卵鶏血清では低い割合でしかPhytoは検出されなかったが, 雄鶏ではかなりの取り込みが認められた。Phyto食により卵黄中のChol濃度は低下した。卵黄へのPhytoの取り込みは増加したが, 絶対量はきわめて少なかった。配合飼料食のウマ血清ではPhytoの占める割合は低かったが, 血清Chol濃度が高いことから, 量的にはかなりのPhytoが血液中に存在し, 主としてHDLとして循環しているとみなされた。配合飼料食のウシおよびブタ血清ではPhytoの占める割合は低かったが, ウシの極低密度リポたん白質画分には試験した動物のうちで最高の割合でPhytoが含まれていた。ウサギは比較的よくPhytoを吸収するようであり, これはげっ歯類に共通なのかもしれない。各LP中の分布は動物種により異なり, またカンペステロール/β-シトステロールの比にも一定の傾向は認められず, Phytoの吸収能のみならずその代謝も動物種によりかなり異なることが示唆された。