有明海産汽水魚ムツゴロウ, ワラスボの筋肉組織と卵についてNa, K, Ca, FeおよびPについて分析を行なった。また, NaとKについてはその存在形態について検索し, 次のような結果を得た。 1) ムツゴロウ肉質中および卵中のNa, K, Ca, FeおよびPの含有量はそれぞれ110, 320, 29.4, 3.9, 122mg%および70, 210, 29, 2.0, 15mg%であった。ワラスボではそれぞれ順に130, 340, 68, 5.4, 150mg%および72, 200, 27, 1.4, 12mg%であった。また両魚種とも含有量は筋肉でK>P>Na>Ca>Fe, 卵ではK>Na>Ca>P>Feの関係にあった。 2) 筋肉組織水抽出物中の結合型と遊離型のNaの割合は, ムツゴロウでは46.0%, 54.0%でその比は1: 1.17, ワラスボでは37.6%, 62.4%でその比率は1: 1.65であった。またKではムツゴロウで27.0%, 73.0%でその比率は1: 2.7, ワラスボでは20%, 80%でその比は1: 4.0であった。 3) 汽水魚の結合型NaとKおよび遊離型NaとKの含有比は海産魚にくらべ比較的小さい。