出版社:Japanese Society of Nutrition and Food Science
摘要:ラット小腸で, in vivo でのsucrase活性と in vivo でのショ糖の減少速度との対応関係を, 離乳前後および昼夜で検討し, 以下の結果を得た。 1. 授乳期から離乳期にかけて, sucrase活性は10数倍に増加し, それに比例的に対応して, in vivo でのショ糖の減少速度も増加した。 2. 成熟ラットにおいて, sucrase活性は著明な日周期変動を示し, 夜高く, 昼低い値となるが, in vivo でのショ糖の減少速度も, それにご対応した変動が認められた。 3. 幅広い生理的条件下において測定された in vivo でのsucrase活性と, in vivo でのショ糖の減少速度との間に比例関係が認められ, さらにショ糖由来のブドウ糖の吸収速度との間にも比例関係が見られた。ここで, ブドウ糖の吸収量は, ショ糖減少量の約80%であった。 以上の結果から, ショ糖の分解・吸収はsucraseによって規定されており, in vivo でのsucrase活性を測定することにより, 生理的条件下でのショ糖の分解のみならず, 吸収をも予測しうることが明らかとなった。