シロネズミをヨウ素およびコンブ給与量によって5群に分け, 100日間飼育し, ヨウ素の出納試験を行い, ヨウ素過剰給与がヨウ素代謝, 窒素およびミネラル排泄 (P, Ca) に及ぼす影響を調べた。 本実験条件で, 甲状腺組織および重量に異常は認められなかった。しかし, 飼育期間中, ヨウ素最多給与群に目および鼻孔に出血するネズミが続出し, うち1匹が腸出血で死亡する等, ヨウ素中毒様症状が現われたが, 他の群には異常が認められなかった。また, 甲状腺のヨウ素含量は, ヨウ素多給によって減少した。 ヨウ素過剰給与の場合も, ヨウ素摂取量と1日全尿中のヨウ素排泄量, および尿1mlあたりのヨウ素と総クレアチニンの比 { (ヨウ素mg/ml) / (総クレアチニンg/ml) } の間に高い正の相関があり, 尿中ヨウ素のクレアチニン比によりヨウ素摂取量の適否判定が可能であることを確認した。ヨウ素多給の限界は, このクレアチニン比で, ヒトでは20以下, シロネズミは1, 000程度と推定した。