本稿は, 日本において2014年7月から2015年6月までに発表された青年期・成人期・老年期を対象とした発達研究について概観したものである。1年間に発表された青年期以降を対象とした発達研究の動向を「自己」, 「対人関係」, 「適応と精神的健康」, 「進路・キャリア発達」, 「その他」の5つに分類し, 論評を行った。自己に関する研究では, 青年期のアイデンティティ発達に関する研究, 自己概念・自己評価に関する研究, 世代性や子育てに伴う心理発達に関する研究がなされていた。対人関係では, 夫婦関係の継続理由や夫婦関係と家族機能の関連を扱った研究が見られた。適応と精神的健康では, 学校行事や接続教育, いじめ, 非行といった学校生活・学校適応に関する研究が多く報告されていた。進路・キャリア発達に関する研究では, キャリア教育や職業意識の形成, 社会参加に関する発達的意義について論じられていた。その他としては, 青年期から老年期にかけての認知機能やパーソナリティの発達について報告されていた。最後に, 青年期以降の発達研究における展望とともに, 今後の課題について論じた。