わが国においては2015年に乳中のアフラトキシンM1について規制値0.5 μg/kgが設定された.イムノクロマトキットを用いた検出法が公定のスクリーニング法に採用され,使用できるキットの基準が示された.市販のアフラトキシンM1検出用のイムノクロマトキットが基準を満たすかを確認するために,アフラトキシンM1が含まれていない乳と100~700 ng/kgの7濃度となるようにアフラトキシンM1を添加した乳を用いた添加回収試験を実施し,4種の市販キットの性能を評価した.2種の定性用キットの結果においては,いずれのキットもアフラトキシンM1が含まれていない乳を陽性と判断せず,さらにアフラトキシンM1を500 ng/kgの濃度で添加した乳の判定はすべての結果において陽性であった.2種の定量用キットの結果においては,アフラトキシンM1が含まれていない乳の測定値は全て100 ng/kg未満で,さらにアフラトキシンM1を500 ng/kgの濃度で添加した乳を測定した際の回収率はすべて70%を上回り,また検出限界値はいずれも100 ng/kg以下であった.これらの結果から,4種の市販キットは基準を満たしており,乳中のアフラトキシンM1のスクリーニングに使用可能であることが示された.