食品衛生法ではナイロン製器具・容器包装からのカプロラクタムの溶出量が規制されている.そこで,公定法であるGC-FID法とその代替法であるGC-MS法の性能を評価するため,20機関で試験室間共同試験を行った.各試験機関は,濃度非明示の20%エタノール溶液(3検体,各2測定)中のカプロラクタムをGC-FIDまたはGC-MSにより定量した.公定法(GC-FIDを用いた絶対検量線による定量)における真度は96~97%,併行精度(RSDr)は3.3~5.4%,室間再現精度(RSDr)は4.0~6.7%であり,これらの値は目標値(真度:80~110%,RSDr: 10%,RSDr: 25%)を満たしていた.さらに,ヘプタラクタムを用いて内標準補正を行うといずれの性能パラメーターも向上した.GC-MS法では,絶対検量線法において一部のRSDrが目標値の10%を超えた.しかし,内標準補正を行うと真度は94~96%,RSDrは2.0~4.4%,RSDrは7.0~9.4%であり,規格試験法の代替法として適用可能であった.