本稿では,3次元可視化の複雑な情報の理解を助ける効能に着目し,CAVEシステムを用いてデバイスの設計方針の設定を行った事例として,ステント周りの数値流体力学(CFD)解析について紹介する.医療用画像より再構築された9例の実形状動脈瘤に対して,3次元可視化を用いてストラットを留置する前のBOI構造を理解し,その流れ場の中にストラット留置した場合の変化を予測することで,瘤内血流の低減に最適なストラット留置位置を推定した.観察の結果,動脈瘤への局所的な流入(BOI)内部にストラットを留置することが効果的であると推測された.推定された位置にストラットを留置した場合,BOI外部にストラットを留置した場合と比較し,効果的に動脈瘤内の流速および壁せん断応力が低減されることが示された.