現在のスキー技術にはBeispielを主体としたオーストリア技法が主流をなしていることはいなめないが, この技術にはStemmen(Stem)ということが基礎的技術にあるため, スピード化へのコントロール, 安全性への疑問がある. この抑制を打破するため, わが国の一部の指導者によって「抱え込み送り出しターン」が考案されていた. その流れをくむ著者らは, Milliken High Speed Cameraを駆使して, 高度技術者の映像フォルムを研究し, 技術的解明を行なった. その結果, このスキー技術が在来のものとは異なる, スキーヤーの強い意志による雪に対する舵作用が内蔵された操作として一貫されているものであることを明確にした. ついでradio-telemeterによる筋電図計測を同一被験者について, 在来の技術との比較を行ない, その筋電図より, ターン中の「flat平踏」および, 送り出しの一連の回転技術における下肢拮抗筋の働きを確かめた.