カヤック漕法について, パドリング・タンク法によってブレード中心および握り手の軌跡, 漕力曲線, および主働筋群の筋電図による解析を行なった. 熟練者は未熟練者に比し, キャッチおよびミドルから後半にかけてパドルは水面に対しより大きい角度を保ち, 有効な引き動作を行なっていた. 引き動作の主働筋群の放電様相は, 熟練者, 未熟練者で違いは見られなかった. しかし熟練者では〓幹の捻転が上肢の引きに先行する現象が見られたが, 未熟練者では殆んど同時に行なわれている場合が多く, 1ヶ月の練習後, 捻りが先行する傾向が現われて来た. 熟練者では引き動作の間, 肘関節には余分な筋緊張は見られなかったが, 未熟練者ではこれが現われ, 1ヶ月の練習後もとれなかった. 下肢にも未熟練者では熟練者に比し, 余分の筋緊張が現われていた. また初心者においては上肢の引きの主働筋群をすべて動員出来ず, 出来てもその漕力は未熟練者と比べても遥かに小さかった.