発育発達は多くの側面をもっているが,それらの諸側面が相互に関連し合いつつ発育発達の過程が展開されるのである.発育発達現象を現象に忠実に分析してゆくには現象のもつあらゆる側面を測定し,この測定変数間の関連性を考慮しつつ,測定変数全体を同時空間の中で取り扱い,経時的変化を考察する事がより有効な方法と考えられる.この立場に立って,測定変数の数に等しい次元の変数空間での考察に直観的考察の利点を生かすため主成分分析を適用して,第1,第2主成分を直交軸とする2次元成分空間をn次元変数空間の近似空間として,この成分空間で発育発達現象を考察する方法を工夫した.この方法を農村地域小学校児童標本に適用し,体格の発育を成分空間における各学年別に95%の所属楕円の経年的変化を考察することによってアプローチした.