様々の運動におけるMSNA反応の例から運動時循環の神経調節について概観した.運動時の交感神経亢進や抑制メカニズムの研究には掌握運動が広く用いられ,交感神経活動増加に活動筋代謝および機械受容器反射が大きく貢献していることが明らかになった.また,ダイナミック運動では,高い交感神経活動維持に圧受容器反射の寄与の大きい可能性が,疲労困憊に到る最大運動ではセントラルコマンドが大きく関与する可能性が示唆されている.運動の種類や強度,運動時間に応じて神経調節がどう最適に行われるか詳細を明らかにするためには,さらにダイナミック運動時のデータの蓄積が望まれる.