走運動鍛練度及び走能力に差のある3名の被検者を対象に,走速度の増加にともなう下肢の各関節の動きの変化をelectrogoniometerで,また左右脚の地面との運動関係を運動靴に充填した面圧計で同時に記録し,その記録の分析により次のような結論を得た. (1)走速度の増加にともなって股関節,膝関節の運動範囲は鍛練度,走能力の差にかかわらず大きくなる.しかし,同一走速度条件では鍛練者が非鍛練者よりその運動範囲が大きくなる. (2)接地瞬間時の接地脚大腿と振り出し脚大腿の相対的位置は,鍛練者ほど振り出し脚大腿が接地脚大腿に近づいている.また離地瞬間時では,鍛練者は非鍛練者より振り出し脚大腿をより前方ヘ高く振り出している. (3)非鍛練者が鍛練者より振り出し脚の動きが遅れていることから,より高い走速度に適応するためには早い振り出し動作が必要であるといってよい.