子どもの食に関するQuality of Life(食に関するQOL)についての研究では, これまで献立内容や共食状況などの個々の食生活を構成する要素(食生活要素)との関連が個別に検討されてきたものの, これらの関連を総合的に捉えた実証研究が十分には行われていない。本研究は, 親子の共食に着目して, 子どもの食生活要素と食に関するQOLとの関連メカニズムについて明らかにすることを目的として行われた。中学生を対象に1週間のダイアリー調査を実施し, 朝食と夕食に関する回答を235名から得た。分析の結果, 食生活要素である「献立数」, 「共食人数」, 「手伝い」が, 食事中の「会話」と「共食感」を媒介して「食に関するQOL」に関連し, また「会話」は, 直接「食に関するQOL」にも関連することが明らかにされた。以上の結果から, 主食, 主菜, 副菜などの献立数が多く, 一緒に食べる家族の共食人数が多く, 食事に関する手伝いをよくする子どもは, 食事中の会話が弾むと感じ, 家族と一緒に食事をすることが楽しく, できるだけ家族と一緒に食事がしたいという共食感を持ち, その結果として食事に対する満足度や楽しさ, おいしさなどの食に関するQOLが高まることが示された。