Alb値に替わる栄養指標による簡便な栄養状態判定尺度の確立を目指して取り組んだ奨励賞に係る研究結果を要約すると次の通りである。
1)亜鉛の栄養状態によるたんぱく質と鉄の代謝変動が明らかになった。
2)亜鉛の摂取率は,ADLの低い群で高かったが,血清亜鉛値は逆にADLの高い群で大きい傾向を示しており,血清亜鉛値とADLの関連性が明らかとなった。
3)高齢者のADLを規定する要介護度,寝たきり度,認知度などのADLの因子とGNRIとの間には負の相関があり,これらの因子を良好に維持するためには,GNRI値92を上回る必要がある。これに要する血清亜鉛値は基準値以上に維持する必要性が示された。
4)GNRIのAlb値に替わる栄養指標としてCCの可能性が示唆された。