高所における有酸素作業におよぼすビタミンEの単独効果を検索するために, 男子12が名高さ4,500mに相当する低圧室での自転車エルゴメーターによる作業テストに参加した. 二重盲検法によって, 1日1.200mgのビタミンEとプラセボが6週間投与され, 続く6週間に両者はスウッチされて投与された. 同一最大下作業時の酸素消費量(Submax Vo_2)と心拍数, 回復期の酸素消費量と静脈血乳酸値および, つづく all-out ridingによる最大酸素摂取量(max Vo_2)等がビタミン投与の効果を測定するパラメターとして用いられた. 6週間にわたるビタミンE投与の結果, max Vo_2は14%増加した. さらに最大下作業にもとづく酸素負債および静脈血中の乳酸値はそれぞれ20%と17%低下した. これらの諸結果から, ビタミンの大量投与は急性低圧環境における有酸素作業成績を高めるのに効果的に働いたものと考えられる.