主働筋に軽度の随意的な緊張を与えた状態から, 急速に随意的な反応動作をおこすと, 動作に先行して主働筋に筋放電の休止期(Silent Period)が出現する. この発現機構を明らかにするだめ, 上肢の肘関節伸展動作, 下肢の跳躍動作, スタート動作をおこなつた. その結果, 肘関節の伸展動作では, 動作に先行するSilent period は, ピストル音, ネオン・ランプのそれぞれの刺激を与えてから, 最も速い時で約40msec後に出現した. 下肢の跳躍動作をおこなうことによって, このSilent periodを恒常的に観察することができた. しかも動作に先行するSilent Periodは拮抗両筋にもほぼ同時に出現することを見い出した. スタート動作のような全身運動では, 上・下肢ともほぼ同時期に動作に先行するSilent periodの発現をみた. したがつて随意動作に先行するSilent periodは, 脳幹・脊髄全体の同時抑制によるものと思われる.