22名の被検者について, 自転車エルゴメーターにより規定された運動負荷が計算成績に及ぼす効果を検討した. 自律神経機能の測度として, 水プレチスモグラフによる指容積変化のほか, 心拍数, 呼吸数および血圧を同時記録した. 実験結果および考察を要約するとつぎの通りである. (1) l2〜16分でオールアウトに至る漸増負荷による身体運動により, 計算成績は6.2パーセント向上した. (2) 指容積は運動前後とも計算中に減少したが, 運動後の減少度の方が大きかった. (3) 心拍数, 呼吸数, 血圧は, 運動前後とも計算中に著明な増加を示した. (4) 本研究における運動後の計算成績の向上は, 覚醒度あるいは定位反射の強化と関係していると思われる.