Magnusとde Kleijn (1912) によって見出だされた頸反射を観察する方法としては, 写真撮影, 張力測定, メカノグラフィーなどのほかに, 筋電図法がある. 猪飼 (1944) は, 機械曲線から, 健康成人において頸反射を認め, 時実 (l951) は, 筋電図から, この反射を検出した. 単一NMU (Neuromuscular unit) の発射間隔から生体情報を得る方法は, 数数の研究に応用された. 特に中枢神経系に疾患のある場合に亢進する姿勢反射が健康成人にも存在することが, 筋電図学的に証明された. 筋放電の発射間隔の短縮・延長を指標として反射を検出する場合, そのインパルス間隔は, 従来, 「ものさし」で1つ1つ計られていた. これには, 多大の時間と費用が必要であった. 著者らは, 1969年, 松田のCardiotachograph (1948) を改良して, Electrotachographを自作し, Ergometryへの導入を試みた. この装置を, さらに改良し, 同心型針電極によってヒトの単一NMUから導出されたインパルスをThyratronのtrigger inputとすることによって, その発射間隔の推移を自動的に直記できるようにした. これを用いて, 健康成人における頸反射の特性を調べた. 頭部の前屈, 後屈, 傾斜, 捻転時のそれぞれについて頸反射の様相を観察したところ, 捻転時に, 最も強く反射の効果が現われた.