3ツの室温条件(10, 20, 30゜c)のもとで最大作業を課し, その際の呼吸循環系反応及び作業量を測定した. 被検者は成人男子10名(19〜22才)で, 全員が各室温条件下で1回づつ(1人3実験)のテストを受けた. 人工気候室で予め所定の室温を設定(相対湿度60〜70%)し, 被検者に30分の椅座位休息を与え, 3分のウォームアップと3分の休息を挿んで疲労困憊に至る自転車エルゴメーター作業を課した. 負荷はぜロからスタートして1分毎に180kgm/min増すものとした. その結果(1)総仕事量, Vo_2max, VEmaxには室温の違いによる有意差が認められなかった. 作業時の生体反応に注目すると(2) 30゜C条件下の心拍数は10゜C, 20゜C下のそれらより有意に高い. (3) 20゜C条件下の心拍数は, 総仕事量の80%を越える作業水準になると10゜Cとの間に有意差がなくなる. (4)呼吸数も高温になる程, 頻度を増すが, VEとVO_2には明瞭な差異が認められない. (5)作業終了後(回復期)5分程度までは, 各項目に於いて同様の温度依存傾向が見られる. (6)実用の便を考え, 心拍数と酸素摂取量(%Vo_2max)の関係を回帰直線によって示した.