幼児の発育発達に関して,特に運動能力の地域差を検討するために,離島,団地,都市の幼稚園児男女4才244人, 5才288人を対象にして,その生活条件と体位,運動能力等を調査測定した.そして各地域の生活条件の差異と共に体位や運動能力の地域差,年令差,性差を比較検討した.その結果,生活条件では,平均家族人数は離島が多く,都市において親の最終学歴が高い.人口密度は,離島,都市,団地の順に大になっている.また,体位には地域の有意差はみられなく,運動能力では項目によって地域の特性がある.年令差においては,各地域共体位で長育の発育が著しく,運動能力でも差異のある項目が多かつた.なかでも都市の園児は,離島,団地に比較して1年間の発達促進が大である.性差においては,身体協調能力のまりつき,ボール投げで明らかな差がみられ,生活習慣の違いが性差として現われているように思われる.