ソフトウェア開発において,プロジェクトの計画立案,管理支援を目的として,重回帰モデルを用いた開発工数の見積もりが行われている.一般に,モデル構築に用いられるプロジェクトデータには欠損(未記録の値)が含まれている.欠損が含まれたままでは重回帰モデルが構築できないため,見積もりに際しては先に欠損を何らかの値で補完し(欠損値補完),欠損のないデータセットを作成する事が必要となる.本研究では複数の企業で収集された1364件のデータ(欠損率34%)のプロジェクトデータに対し,4つの欠損値補完法(k-nn法,CF応用法,Miss Forest法,多重代入法)を適用し,重回帰モデルの構築を行った.各種法の予測精度を評価するために160件のプロジェクトの工数予測を行った結果,多重代入法を用いた場合に高い精度のモデルが構築されることが分かった.