1.鹿児島県沖永良部島産の園芸植物のなかから,アサギズイセン(アヤメ科),トウショウブ(アヤメ科),およびダンドク(カンナ科)の地下組織の澱粉を抽出精製した.澱粉の収率はそれぞれの新鮮組織に対し,約24,13および5%であった. 2.各澱粉につき,水分,蛋白質およびリンの分析,顕微鏡観察,粒径分布,X線回折,ヨウ素呈色,生澱粉のグルコアミラーゼによる消化,膨潤力,溶解度,アミログラフィーなどの諸項目につき測定し,それぞれの澱粉の特性を考察した. 3.アサギズイセン澱粉は白度が高く,糊化や消化がやや困難な硬い澱粉粒であると思われた.トウショウブ澱粉は微粒子で精製が難しく,糊化の性質はアサギズイセン澱粉に似ていた.またダンドク澱粉は大形の偏平粒で,アミロースやリン含量が高いなど,ショウガ科やカンナ科の澱粉に共通した性質を示した.