加水量を1.3~1.7倍と変えて炊飯し,炊飯後5℃ で保存して老化させた米飯を用い,表面反射率,粘弾性,糊化度等の経時的変化について検討し,次の結果を得た.1)ウルチ米,モチ米ともに,炊飯時の加水量を1.3,1.5,1.7倍と変えて炊飯した米飯の表面反射率の経時的変化を調べてみると,全体として時間の経過に伴って増加の傾向を示したが,いずれの場合も初期の変化が著しかった. 2)老化させた米飯を電子レンジで再加熱したときの変化を調べると,加熱3分間までは急激に糊化の上昇が見られ,加熱4分後には,ほぼ炊飯後10分蒸らしたものと同等の平衡状態y達した. 3)BAP法を用いて米飯老化に伴う糊化度の変化を測定した.炊飯時の加水量の増加に従い高い糊化度を示したが,保存日数とともに糊化度は減少した.また炊飯時の加水量が増加するほど老化しにくくなるという結果が得られ,表面反射率の経時変化ど同様に老化初期に変化が著しかった. 4)ウルチ米飯では,加水量と表面反射率との間に相関性が見られ,老化の測定に利用できるが,モチ米飯の表面反射率の経時変化は加水量により差が認められず,'老化の判定に適用できないことがわかった. 5)瞬間弾性率,定常流粘度ともに時間の経過に伴って上昇する曲線の形状が見られ,表面反射率はウルチ米飯の老化度の経時変化および弾性率変化を忠実に反映すると考えられる. 本研究を行うにあたり,プルラナーゼをご恵与いただきました株式会社林原生物化学研究所研究所長辻阪好夫博士に深く感謝致します.また,β 一アミラーゼを使用した実験に際し,ご指導をいただきました本学農芸化学科新田康則助教授に対して深謝致します.また,有益なご助言をいただきました本学農芸化学科藤井ミチ子講師および高裕明博士に対して謝意を表します. なお,本研究の概要は,日本農芸化学会関西,西日本支部合同大会(1987年10月,山口大学)で発表した.