大学等アカデミアが関与する臨床研究を巡っては,2013年からデータの不正使用及び企業との不適切な関与が指摘される事案が相次いで発覚したことを背景に,臨床研究に関する指針が見直され,医学研究の質の確保,被験者保護と並んで研究機関と企業等との透明性確保のための利益相反管理に関する規程が新設された.更に臨床研究の信頼回復のための法制度として,利益相反管理義務が法律とし定められることも予定され,従来以上に医学研究における利益相反マネジメント体制の強化が求められているといえる.本稿では,全国の医学部を有する大学等に対して実施した,利益相反マネジメントの実施状況に関する調査から抽出された課題を紹介するとともに,当該課題を解決し我が国の医学研究の信頼維持のために求められる利益相反マネジメントの在り方をモデルとして紹介していく.