攻撃性の強い人はどのような相互作用状況でも攻撃的に振る舞うだろうか。先行研究は,親密な関係を対象に,攻撃性と攻撃行動との関連が,挑発的な行為がありかつ自己制御資源に乏しい場合に顕著となることを示している。そこで大学生64名を対象とする相互作用実験を行った。参加者は攻撃性に関するアンケートに回答後,協調的もしくは非協調的な相手とテレビゲームを行った。その後注意資源を要する計数課題を行い,最後にゲームの相手に与えられることになる嫌悪的飲料の個数を選択した。階層的二項ロジスティック回帰分析の結果,制御資源が枯渇しやすく(制御課題に時間を要し),かつ相手から挑発的行為(非協調的な相手)があった場合に,攻撃性は嫌悪的飲料の個数を予測した。これらの結果は,先行研究の知見が,親密な関係からそうでない関係へと一般化可能であることを示している。