本研究の目的は,ロボットに対する擬人化に注目し,擬人化の程度を定量化する日本語版の尺度を作成することである。従来,欧米の研究で用いられている擬人化の程度を測定する二種類の尺度を翻訳して用いた。一つ目は心の帰属を行為の主体性/感覚の経験性の二次元で評価するものであり,もう一つは人間の本質を人間の独自性/人間の本質性の二次元で評価する尺度である。1200人の日本人が,6種類のロボットと2人の人間の写真刺激に対しこれらの尺度で擬人化の程度を評価した。その結果,日本においては,欧米での先行研究と同様の因子が明らかとなると同時に,それらの因子がポジティブな内容の因子とネガティブな内容の因子に分かれることが明らかとなった。日本においては,ロボットの人間らしさについて,ポジティブな側面とネガティブな側面を分けて考える傾向があることが示唆された。尺度の内定信頼性は十分に高いことから,今後の尺度の利用可能性について議論した。