本研究は,Conley (2012) の枠組みを参考に学習接近動機 (i.e., 利用価値) と学習回避動機 (i.e., 学習上の悩み) の2変数による組み合わせのパターンと,学業達成や精神的健康との関連を検討した。中学2年生1,723名を対象とし,ベネッセ教育総合研究所により実施された「第4回学習基本調査・学力実態調査」のデータを用いて二次分析を行った。クラスター分析の結果,利用価値を高く認知し,学習上の悩みを低く認知する高動機づけ群,逆に前者を低く認知し,後者を高く認知する低動機づけ群,そして,両方を高く認知する葛藤認知群の3群に分類されることが示された。また,各クラスターの特徴をみるため,学習への興味や学習行動,テスト成績,および健康指標を従属変数として分散分析を行った。その結果,高動機づけ群が最も得点が高く,その他の2群間には差がみられないというパターンが多くみられた。以上より,学習接近動機のみでなく,学習回避動機についても着目する必要性が示された。