1. イネ科の雑草であるイヌムギ, カモジグサ, マカラスムギの3種の種子澱粉を精製した. 澱粉の収率は頴を含む乾燥種子重に対し, 約11%, 6%, 33%であった. 2. 各澱粉につき, 水分, 蛋白質およびリンの分析, 顕微鏡観察, 粒径分布, X線回折, ヨウ素呈色, 生澱粉のグルコアミラーゼによる消化, 膨潤力, 溶解度, アミログラフィーなどの諸項目につき測定し, それぞれの澱粉の特性を考察した. 3. イヌムギとカモジグサの澱粉は, オオムギやライムギの澱粉のように大粒と小粒の混合形態で, 大粒の形はイヌムギは楕円形に近く, カモジグサはほぼ円形であった. またマカラスムギの澱粉はやや小形で角ばった形をしていた. この3種の澱粉のアミログラム上の粘度上昇開始温度はいずれも85℃を超え, 前報のチカラシバその他の澱粉とは異なり高い値を示した. しかし全体としては, 禾穀類の澱粉として共通した性質が多くみられた. なお, 本試料の採集には当学科学生富永保君の協力をうけ, X線回折に関しては土壌学教室のお世話になった. ここに付記し謝意を表する.