アルカリ法と発酵法により調製した緑豆および蚕豆澱粉を用いて, 加圧押出成型機によりハルサメを調製したおのおののハルサメおよび市販ハルサメについて, 散乱光吸収スペクトルによる透明度, 膨潤度, 溶解度, 物性, アミロース含量およびアミロペクチンの鎖長分布の測定を行い次のような結果を得た. 1. 発酵法により調製されたハルサメは, アルカリ法のものに比べて透明度が低く, 引張り強度が大で伸びにくい麺となる傾向を示した. このことから加圧押出成型機により麺を調製する際の澱粉の調製法としては, アルカリで除タンパクを行う方法が, 発酵法に比べて効果的と考えられる. 2. 蚕豆ハルサメは緑豆ハルサメに比べて硬さは小さく, 伸び弾性率が大で麺として伸びにくい傾向を示した. 3. 緑豆と蚕豆ハルサメの物性の違いをアミロース含量およびアミロペクチンの鎖長分布から検討した結果, 緑豆と蚕豆澱粉のアミロース含量は同様な値であったが, 蚕豆澱粉のFr. III/Fr. IIの値は緑豆澱粉よりも小さい値を示し, これはハルサメの物性と同様の傾向といえる. このことから豆類澱粉では物性とFr. III/Fr. IIの値になんらかの関係があうのではたいかと考えられる. 4. 研究室調製ハルサメおよび市販ハルサメの性質は, 原料澱粉の性質とともに, 麺の調製法に大きく依存すると考えられる. 中国産ハルサメ “龍口粉絲” は市販ハルサメ中, 最も透明度が高く, 伸び率が大で溶解しにくいなど, ハルサメとしてすぐれた物性を示した. 日本産押出式は溶解度が高く, 付着性が大で麺として伸びにくい傾向を示し, 日本産懸垂式はその中間の値を示した. 5. 散乱光吸収スペクトルによる透明度の測定は, ハルサメの透明度や光沢の有用な測定法と考えられる.