(1)市販されている一体型の水蒸気蒸留装置を用い,重量法(電子天秤・振動式密度計)と組合わせた簡単で迅速かつ少量のアルコール分の分析法を考案した。 (2)水蒸気蒸留における試料最少量及び留液採取量の検討を行った結果,最少試料量は30 mL,留液採取量は36 mLでアルコール分の分析を行っても,十分所定分析法と同程度の精度であることがわかった。 (3)本法(採取試料約30 mL/留液約36 mL)と所定分析法について比較を行い,併行精度あるいは真度ともに所定分析法と同等以上の結果を示した。 (4)本法の分析時間は約6分で終了するので,煩雑な蒸留前後の体積と品温調節及び蒸留が必須である所定分析法(分析時間40~50分)に比べると約1/10に短縮できる。そのため,特に仕込み時期の酒母やもろみのアルコール分の分析時間を大幅に短縮でき,作業の効率化が可能となる。 (5)実際にアルコール分を算出する際には,パソコンの表計算ソフトを用いることが望ましい。さらに,振動式密度計や電子天秤にパソコンを接続して数値を直接転送することができれば数値入力にかかる時間と労力もより削減できる。